カルトナージュとはフランス語で、”厚紙細工”を意味します。
カルトナージュとは、厚紙(カルトン)で作った箱に布や紙を張って美しく仕上げたもの。
18世紀に生まれたヨーロッパの伝統工芸です。
布箱や茶箱と呼ばれることもあり、ハンドメイド講座などを見ても名称が統一されているわけではないようです。
実は、その起源にも諸説あります。フランス語ですから、特にフランスとのつながりが深いことはうなずけますが、これからそのうちいくつかの説をご紹介します。
※正確には、「しいて日本語に訳すなら、厚紙細工」が正しいです。cartonnageの"carton"はまさにフランス語の「厚紙」に対応していますが、"nage"の部分が細工を意味するわけではありません。-ageは、動詞を名詞化する「接尾辞」と呼ばれる部分のようです。
大航海時代にアジアから運ばれたお茶の入れ物として、金属製の缶などよりも、香りがつかず湿気を調整するために紙で作られた箱が重宝されたことに由来するという説があります。
当時、お茶は高級品であったため、上流階級のティータイムにふさわしいよう、箱にも美しい布を貼ってお出ししたのです。このため、現在でもカルトナージュは「お茶箱」「布箱」などと呼ばれることもあります。
これがフランスの貴婦人たちの間で流行し、現在のカルトナージュになったと言われています。
もう一つの有力な説は、 1844年南フランスのヴァルレアス地方で床屋を営んでいたムシュー・ルヴォルが考案したというものです。用途は、蚕とまゆを入れるためというもので、繊細な品物の品質を保とうとして開発されたという点で、茶箱との共通点があります。
フランスのヴァルレアスという地名は、大正時代の日本の養蚕業界新聞にも登場*1 することから、養蚕業が行われていたとみて間違いがないでしょう。
参照)*1...中外商業新報, 1918.8.8-1918.8.9(大正7):世界の蚕況 (上・下)
<まとめ>
「養蚕の繭(まゆ)を入れるための箱」という第2の説は、以前から知っていましたが、文章としてどの本に書いてあるのかはわからず仕舞いでした。
最近、香代子ビジャー著の『カルトナージュ』にその記述があるらしいということがわかりましたので、その本をご紹介します。
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Cartonnage making, texts and photos
by Ai Imada